朝ドラ『エール』に見るマーケットインとプロダクトアウト

マーケティング

マーケットイン』と『プロダクトアウト』、経営者やマーケティング担当になると意識し始める言葉ではないでしょうか?大まかに説明すると、『マーケットイン』は市場ニーズから商品・サービスを作ったり、売ったりすること、『プロダクトアウト』は商品を作ってからそれを売ることを指しています。

よく『マーケットイン』が良いのか『プロダクトアウト』が良いのか?という議論がありますが、それについて、朝ドラ『エール』の主人公、古山裕一さんの苦悩から解説していきたいと思います。

 

アーティストとプロフェッショナルの違い

裕一さんは幼少期に学校の先生に音楽の才を見出されて、音楽との人生を歩み始めます。そして、若い中、イギリスの音楽コンクールに入賞し、世界的な注目を浴び、日本の音楽界の巨匠に目をかけられ、大手レコード会社の専属作曲家となります。ここまでは超サクセスストーリーなのですが、ここから一転します。

作曲しても作曲しても受けず、レコードにすらならない

来る日も来る日も、曲作りをしますが、全く認められず、レコード会社でもレコードにしてすらもらえません。なぜそんなことになるのか?それは、レコード会社で裕一さんに求められているのは、『大衆音楽』、一方、裕一さんが志向しているのは『西洋音楽』全然志向性が違います。

同じ音楽家仲間は、裕一さんの才能を高く評価し『いつか大物になる』と称賛するも、そんなことは、大衆(お客さん)の知ったことではないですよね。全く曲が世に出ることもありません。そんな状態が続き、レコード会社も堪忍袋の緒が切れ、契約解除を示し始めます。

そんな苦境の中、周りからやんわりと『世の中が求めているものを作ってほしい』ということを言われますが、裕一さんはその意味が理解できません。『自分の音楽を作らなくてどうすればよいのか?』と。

そんな中、ひょんなつながりで、なんとあの早稲田大学の応援歌を作る依頼が来ます。しかしながら、裕一さんは応援歌が書けず、もう締め切り間際になって、応援団長に『曲は書けない。ほかをあたってくれ』と断ります。万事休すは応援団長、いや、もう試合、数日後じゃんねぇ(笑)

メチャメチャ魂を込めて説得する早稲田大学応援団長。共に学生野球を目指し、けがで引退を余儀なくされた親友が、今でもラジオで早慶戦を楽しみにしている話をします。その熱い熱意、野球を離れても野球に人生をかける人間がいることに感動し、本気でエールを贈りたい気持ちになる裕一さん。

ここでようやく、お客さんが求める曲を書くことを知るのです。結果、裕一さんの書いた早稲田応援歌は間に合い、多くの人の心を打った作品になったというものです。(ついでにその年早稲田は慶應に勝ったみたいですね笑)

アーティストとして、西洋音楽の世界で認められた裕一さんですが、プロフェッショナルとしては大衆音楽の世界でなかなか認められませんでした。ここにアーティストとプロフェッショナルの違いがあります。

アーティストは周りに何を言われようが、自分の世界を描いていくことも大切です。アーティストが結果を出すのは死後であることも少なくありません。だって大衆の求めることなんか気にしないですもん。そんなこともあります(笑)

しかしプロフェッショナルはいついかなる時も結果を出すことが求められます。すなわち、ここでいう結果は大衆に認められることです。裕一さんが一介のアーティストから、プロフェッショナルに脱皮したエピソードということです。

 

プロフェッショナルとマーケットインとプロダクトアウト

プロフェッショナルは常に結果を出さなければなりません。だから、大衆に響くサービスを提供します。ここでベーシックになってくるのが、マーケットインの発想でしょう。お客さんが何を求めているか?そのことに対してサービスを提供できることが大切です。

裕一さんのストーリーを通じて気づかせてくれるのは、まさにアーティストとしてのプロダクトアウトの思想から、プロフェッショナルとしてのマーケットインの発想への変化です。しかしこのストーリーの大事な点は、それだけではないです。

じゃあ、プロダクトアウトはダメで、マーケットインは良いのか?実はそうではないんです。裕一さんはなぜ売れたのでしょう?それは、西洋音楽というプロダクトアウトの基盤の上に、大衆の心をつかむというマーケットインの発想が重なったからにほかなりません。

つまり、どちらも大切なんです。ただ、マーケットインは必要不可欠です。絶対的に大切なのは、お客さんの求めることにほかなりませんから。でないと、プロダクトアウトを突き詰めるあまり、全く売れないか、売れても死んだあと、ということになりかねません。

 

まとめ、プロダクトアウトとマーケットイン

まとめると、プロダクトアウトだけでは、アーティストになってしまい、世の中から認められないか、認められるまでに時間がかかるかもしれません。マーケットインを必要不可欠として、プロダクトアウトも意識することが肝要です。

一方、それらの本質として、最も大切なのは、むしろお客さんに『エール』を贈るという、ビジネスの根本であると思います。『エール 応援』はお客さんを惹きつける言葉であるとともに、お客さんを力強く導くパワーでもあります。マーケットインで惹きつけ、プロダクトアウトで導く、この二つを上手にバランスをとっていくことこそが絶妙ではないでしょうか?

一緒にビジネスを通じて『エール』を発信しませんか?(^_-)-☆

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